微妙な家庭環境で育った櫂人君ですから、その辺の不安定さを出せたらいいなと思って読ませて頂きました。シナリオ自体、すごく心理描写が複雑で惹き込まれる作品だったので、そういった決め細やかさも何とかドラマＣＤで出せたらいいなと思って演じました。
収録自体は、結構時間はかかったんですけど、本当にあっという間で、すごくボリューミーな作品になったので楽しんで頂けるんじゃないかと思います。
聴き所はですね、やっぱり彼の若さゆえに突っ走ってしまう一途さだと思います。そういうのって皆さん過去に経験がある方もいると思うんですよね。その辺を「ああ、自分も昔こうだったな」とか、「今現在もしかしたらこういう状況で相手を困らせているのかもしれないな」とか、そういったところを感じていただけたら嬉しいです。

今回は「未完成」というタイトルで、最初はどういったお話かいろいろ考えたんですけど、シナリオを読ませて頂いて、まさしくタイトルにふさわしいな、と思いました。瀬名君の揺れ様というか、不安定さっていうのがじっくり描かれていて、そういう面ですごくよかったですね。
最終的にはまだまだ完成形ではないんですけど、若さゆえの悩みというか一途さ、突っ走ってしまう短絡的なところも含めて、変遷が聴き所なんじゃないかなと思います。

シナリオを最初に読んだ時に、二人のやり取りとか櫂人の台詞にいい台詞がいっぱいあって、すごくおもしろかったんですよ。ああ、こういう風に思うんだって。男と女の恋愛だったら普通に進んでいくところが、男だったらこういう考え方すんのかなって。
そういうのがいつもより新鮮だったし、深く書かれてたような印象を受けました。なので、面白くて最後まで一気に読んでしまった感じです。
だから、二人のやり取りってのが僕は聴き所だと思います。遊佐君の演技も、前野君の演技もそうですけど、聴いてて収録中すごくよかったなと思ったんで、これはいい作品が出来たんじゃないかなと思います。
――大河内に関しては、いかがですか？
大河内はなかなか短いとこしか出てないので、その中でどう自分を表していったらいいかっていうのはすごく考えましたね。あんまり嫌な奴にならないような大人の人を作りたいなと思っていました。いかがでしたでしょうか。
遊佐「パンチが早かったですよ（笑）」
いつも闘ってるもんで（笑）。
（一同笑）
楽しかったです。

やっぱり、好きすぎてその人しか見えなくなって一直線に行ってしまうという経験は、僕も若かりし頃あったんですけども、そういう経験って後になって貴重な経験したなって気づくと思うんですよね。その時は辛かったりしても。
なのでそういう経験を皆様も、まだされていない方はどんどんして頂きたいと思いますし、それで櫂人みたいに人間的に成長していって下さったらいいんじゃないかなって、生意気ながら思います。
未完成という作品、原作もとてもおもしろいですし、また原作とは違ったおもしろさがドラマＣＤではあると思いますので、原作ともどもドラマＣＤも楽しんで頂けたらと思います。
そして、未完成、“未”がなくなって完成というタイトルでまたできたらいいなと思ってます（笑）。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

今回の未完成という作品、いろんな人がそれぞれの人生を生きているな、という感じでした。
先ほど瀬名君の不安定さが随所に描かれていると言ったんですけれども、僕の演じさせて頂いた珪も教師としての立場があって悩むところがあったり、大人な分、上に立って冷静に見なきゃいけないというところがあったり、その中で本音が出たりしてます。
また、瀬名君に対照的な大河内という大人の社会を大人として生きている人がいたり、瀬名君が嫌悪するようになってしまう両親がいたり、それぞれの人生がよく描かれていると思います。マイの気持ちも分かるんですよね、わがままっぷりとか。
そういった一人一人にクローズアップして聞いて頂けるといいんじゃないかなと思います。

未完成っていうところが僕はすごくおもしろいと思うんですよ。一人一人のキャラクターもそうですし、なんでも完成するまでのプロセスっていうのがどきどきしたり、完成に向かっていく過程が分からないからこそおもしろいんだと思うんですね。
例えば大盛りのカレーを食べている時でも、途中までは美味しいじゃないですか、お腹すいている時は。だんだん最後になってくると最初のわくわく感はなくなるけど……って、何言ってんだ、俺は（笑）
（一同笑）
とにかく、そういう途中のプロセスがすごくおもしろいわけですよ。そういう意味で、そこら辺を楽しんで頂けたらなと思います。